毎年のことながら今年も透析医療に厳しい点数改正がありました。
ダイアライザーは利益幅を大きく下げられ、透析時間は４時間未満の点数は安く下げられ、一方で5時間以上の加算が復活しました。

すなわち、性能は悪いが仕入れ価格の安い＝儲けが大きいダイアライザーを使っている施設、未だに3時間透析といったふざけた治療を行っている施設、言い換えれば患者さんへの不誠実な治療しか行っていない施設への国からのお仕置きの意味合いが強いように思います。

ダイアライザーの分類まで患者さんは分からないでしょうが、さすがに今まで３時間透析でいいと言っていた施設は今更どんな方便で４時間透析を患者さんに勧めるのでしょうか？賢い患者さんなら保険改正ごとにころころ変わる治療方法に疑問を持つと思うのですがいかがでしょう。

当院はというともともと　４型、５型ダイアライザーが主体ですから１型や３型を使っている施設よりは痛手は少ないのですが、やはり経営には厳しい影響が出ます。
透析時間については４時間に縛られない長時間透析を勧めていましたので、逆に５時間以上の治療には加算となり、きちんと治療していたご褒美をいただいたような格好になりました。

当院では自己管理を促すため、単に体重増加が多くて水抜きだけの時間延長は基本的に行わないようにしていましたが、今後は患者さんの権利として５時間までは水抜きのための時間延長も認めざるを得ない状況となりました。透析効率を高めるための延長なら全く厭わないのですが、なんとも複雑な心境です。
納税者の方に顔向けできない治療はしたくないのですが・・・。

今後は高齢者の透析医療の包括化を皮切りにさらに透析医療は厳しい保険点数改正を強いられると思われます。性能の良いダイアライザーでオンラインHDFを続け、そのための設備投資も怠れないと思うと、益々送迎サービスなどは縮小しなくてはいけないと思うのです。
そしてこの改正をきっかけにひどい治療を行っていた病院が淘汰される、あるいは考えを真っ当にして良い治療を行うような施設に変身すればよいと思います。